境界編

無断で境界杭をぬくと

隣接する土地所有者が住宅を建築するため、今まであった境界杭を無断で抜き、勝手に別な所にくいを設置し、 これが正しい位置だと主張しています。
こんなことが許されるのでしょうか。
境界標は、土地と土地の境界を示すために人為的に設置した目印です。設置された経緯については、 いろんな事情があったと思われます。
刑法上は、法律上保護に値する正しい境界を表現する境界標ばかりでなく、 境界を示す境界標が仮に誤った境界を示していても、古くから一般的に承認されてきた境界や、 関係者の合意による境界を示す境界標が実際上存在していれば、これらの境界標を隣接者に無断で破損、移動、除去したり、 そのほかの方法で土地の境界を認識することはできません。

もしすれば、境界標毀(き)損罪が成立し、 5年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。故意に他人の土地を侵略する目的で境界を毀損すれば、 場合によっては不動産侵略罪が成立し、10年以下の懲役という重罪になることもあります。

そのほか、その境界標が、国や地方公共団体が費用負担をして行う基本測量や国土調査のための標識であれば、 測量法や国土調査法の違反ろして2年以下の懲役、5万円以下の罰金に処せられることもあります。
境界標に対する処分は十分な注意が必要です。

民法上は、撤去されたあなたの境界が、 あなたの占有してきた土地を侵害することとなった場合は、1年以内であれば裁判所へ境界の確定とは別に、 占有回復の訴えと言う方法で簡易に占有を取り戻す方法もあり、その後、境界を定めるために調停や裁判による解決を 目指すことができます。
「目には目を、歯には歯を」という論法で、あなたが相手の設置した境界を勝手に抜いたりして 自力救済に訴えることは、いくらあなたの言い分が正しいとしても、社会生活上も賢明な方策ではありません。

冷静な対応が必要です。このようなことが起きないよう日ごろからお隣さんと仲良くし、 境界を示す境界標は関係者の立ち会い合意の上で設置、互いに境界標を管理していくことが必要です。